(国土交通省資料より抜粋)昭和46年に経営業務管理責任者が許可・更新の要件とされて約半世紀が経過する中、経営事項審査の受審義務化や新築住宅に関する住宅瑕疵保証制度の創設、技術者配置の徹底、暴力団排除条項の整備、監督処分基準の強化など、経営業務管理責任者の配置により担保されていた、財務管理、労務管理、不良不適格業者の排除などがより客観的な形で多面的かつ複層的にチェックできるようになってきている。
また、この要件については、
・経営層の高齢化が進む中小企業や個人事業主等において若手の後継者に経営の業務を引き継ぐ上での足かせとなりうること
・建設業の業態の多様化に伴い、今後、建設業と他産業を兼業する企業にとっても建設業に関して5年以上経営業務に従事した経験を有する役員等を確保することがますます困難となることが見込まれること
・申請者、許可行政庁の双方にとって、5年以上の業務経験を証明する書類の作成・確認に多大な労力がかかっていることなどの課題も生じつつある。
さらに、現行の経営業務管理責任者の要件(5年以上の経営業務の管理責任者としての経験)は、他産業の許可要件と比較しても厳しい要件となっており、規制改革実施計画(平成27年6月30日閣議決定)においても「建設業の適切な経営を担保するための建設業の許可基準の在り方について、規制の目的に見合った適切かつ合理的な許可要件等への見直しも含めて検討する」こととされている。
対応の方向性として、社会保険に未加入の建設企業は建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築することを前提として、経営層の高齢化が進む地域建設業の持続性の確保につなげるため、建設業の許可基準における経営業務管理責任者の要件について廃止も含め制度の見直しを検討すべきである。なお、当該要件を見直す場合でも、建設企業の経営業務に当たる者の資質等の確保は極めて重要であり、注文者をはじめとするステークホルダーの関心事でもあることから、建設企業の経営業務を行う者に関する情報を必要に応じて把握できるようにすることなどをあわせて検討すべきである。